【初めての電子工作】自分の家でハンダ付けするための環境を整える
2014.5.5
「兼ねてから自分で電子工作してみたいなあと思いつつ、自分のような全くの初心者は一体どこから始めればいいんだろう…」
以前Raspberry Pi も買ったけど、自分で好きなものを自由に作ろうと思ったら回路図とか各パーツのはたらきとかちゃんと理解していないと駄目っぽい(実際 Raspberry Pi とか買ったはいいものの結局どう扱えば良いのかわからず持て余している人も少なからずいると思います。僕とか僕とか僕とか )。
ということで、周囲の人にも相談の上、まずは元々キットとして世の中に存在しているものをつくっていく中で ちょっとずつ全体観を掴んでいくのが一番よいかなと思いました。僕自身シンプルな物事を複雑に考えるのが大好きな人間なので、正直回路とか制御工学とか理論的な事いっぱい勉強したい人だけど、まず現物をいじってみない事にはイメージがつかずピンとこない(=効率が悪い)ので。
そんなわけで、とりあえず実際にプログラムを書いてあれこれ…という話は抜きにして、今回はまず 既に完成しているものを使って自宅でハンダ付けして工作できる環境を整備するという形で話を進めたいと思います。
予算
- 電子工作に最低限必要なアイテム一式: ( ¥4000 )
- 初心者向けの単純な工作キット と 単三電池: ( ¥500 )
- Webで買う場合の送料( ¥500 )
- 簡単なデジタル時計など、上記よりちょっと難しめの工作キット( ¥1500〜 )
括弧内の金額は大体の値段です。5000円くらいあれば今日からでも自宅で電子工作が楽しめる算段です。SICP一冊分くらいのお値段ですね:)
因みに、ちょっと難しめの工作キットの場合、アダプタ部分別売( こちらも大体600円〜 くらいで売られている )などのものがあるため、買う時は必ず説明書を見て 付属のパーツ以外に何が必要なのかチェックする必要があります( キット自体は安くても )。
とりあえず必要なものを下調べ
- はんだごて ( ¥800〜 )
- はんだ ( ¥200〜 )
- はんだごて台 ( ¥900〜 )
- はんだ吸い取り器( ¥800〜 )
- テスター ( ¥800〜 )
- ピンセット (¥100〜 )
- ニッパー ( ¥100〜 )
- ペンチ ( ¥100〜 )
金額は大体の感覚値です(価格はピンキリだけど、とりあえず安いのを載せてます)。
とりあえずまずは安いのを最低限でいいから揃えて始めてみよう!って場合は4000円くらいあれば揃う感じ。
( 必要最低限なので オシロスコープとかのアイテムは抜いてます )
アイテム別 解説 / 選ぶ時のポイント など
はんだごて
注目するのは主に2点?材質とW数。
材質に関して。はんだごての材質は大きく分けると ニクロム / セラミックの2つがあるらしい。それぞれの簡単な特徴・メリットは以下の通り。
ニクロム: 金属部分に穴が空いている。安い。
セラミック: 温度が上がるのが早い。ニクロムよりしっかりしている印象。
W数に関して。こちらは20Wくらいが良いらしいです。30Wで温度調節が無いようなはんだごてにしちゃうと温度が必要以上に上がって扱いが難しいらしい(「始める電子回路」様を参考にさせていただきました)。特に温度調節機能が無い場合、250度等の適温に対して400度以上まで熱くなっちゃって はんだボール( はんだごてが熱すぎて小さな蒸気爆発が起きてはんだがボール上になったもの )等ができる原因になってしまったり、慣れないうちは必要以上に熱を与えすぎて基盤そのものを焼いてしまい使い物にならなくしてしまったりするらしいです。
値段によって何が違うのかというと、いいはんだごてはコテ先が酸化しにくかったり前述の温度調節機能がついていたり色々変わってくるらしい。
僕が今回買ったのがニクロムで30Wの、800円くらいのはんだごてです(温度調節無し)。中々綺麗にハンダ付けできないけど、安く済ませたいのであれば…といった感じ。ハンダ付けする時は濡れスポンジで適宜温度下げながらハンダ付けといった感じになります。
なお、買ったばかりのはんだごては暖めると煙が出ることがあるようです。ネットを調べてみると原因は諸説ある( 出荷時についている油が蒸発している、プラスチックの一部が溶けている 等 )ようですが、いつまで経っても止まらない場合は買ったお店に問い合わせてみると良いかもしれないです(あと念のために家でハンダ付けする際は窓を開ける等換気をした方が良いかもしれません)。
はんだ
鉛フリー(通常のはんだより30円程高かった)とそうでないものがあるらしいのですが、鉛フリーのものは融点(溶ける温度)が高く、ちょっぴり扱いが難し目のようです。とりあえず鉛40%スズ60%のはんだを購入。
はんだごて台
100均にもあるらしいけど、台が軽すぎて倒しちゃったりする危険があるらしいので、それなりにしっかりした重さのある台が必要になるみたいです。
僕は 900円くらいで スポンジ付きの台を買いました(スポンジは熱したはんだを冷ますための重要アイテムです)。
はんだ吸い取り器
つけすぎたハンダを吸い取ってくれる、こういうやつ(クリックすると秋月電子通商さんの商品情報ページに飛びます)。
こちらも100均にあるらしいけど、バネの部分がいかれて使い物にならなくなったというレビューをとある記事で見たので、ある程度しっかりしたものを買うと良いかも。
テスター
アナログのテスター、デジタルのテスターがある。
アナログ: 測定誤差が大きい。過渡的な電圧の変化を読み取れる。
デジタル: 測定が正確。過渡的な電圧の変化は読み取れない。
極端に安いと精度も相応らしいけど、どっちがプラスでどっちがマイナスか見る といったちょっとした用途の場合のみで考えると問題無さそう?
ピンセット
小さい部品を扱うため、指では限界があります。先っちょのとんがったピンセットがあれば心強いです。
ニッパー
ハンダ付けしたパーツの余った部分を切るのに使います。電子工作のお店で売ってますが、100円のがあれば良い感じ。
ペンチ
パーツをくいって曲げてあげたりするのに使います。これも100円ので良い感じ。
どこで買うのがいいの?
電子工作の界隈ではその名を知らない人がいないのが「秋月電子通商」さんらしいです。
秋葉原にお店があり、そちらでも買えるけどWebサイトも出していてそこからも注文できる( ただしWebサイトの場合は 荷物一個口あたり送料が500円かかるので注意! )。
パーツ単体だけではなく、電子工作初心者のためのキット(ハンダ付けして電源確保するだけで動くようなやつ)も色々と売っているのでまずはキットから始めるのがおすすめ。
物にもよるけれど、Amazonで買うとちらほら高めにつくものもあるので注意( はんだ吸い取り器とか同じモデルで1100円とかだったし )。
まずは小さいものでハンダ付けに慣れる
冒頭でも書きましたが、いきなり複雑なものをつくろうと回路理論とか勉強し始めてもイメージがわきづらく楽しくないし、初めての状態であれこれ理論的なことを学ぶには量が多すぎるので、ここは遅延評価勉強法にのっとって元々あるキットを組み立てることにします。
キットに関しても、いきなりデカいもの作って失敗しても取り返しが付かないんで、とりあえず小さいものから作ってみる。
小さいものといっても、どれくらい小さいものがあるの??ということで調べてみると秋月電子通商さんで 約300円の電子オルゴールキットやLチカキット(ただし電池は別売り)があったので、そのあたりから初めてみると良いかも( はじめての場合制作時間30分くらい )。
「ええ、そんなちゃっちいもの?」って思うかもしれませんが、以下の二つの理由でオススメします。
1. ハンダ付けに慣れる
たかがはんだ、されどはんだ。ハンダ付けの仕方が悪くて動かないことは結構あるみたいです。
特に安いはんだごての場合温度調整が難しいので イモはんだ(はんだのつけすぎではんだが盛り上がること。中の部分が空洞になってしまうことが多く、短絡の原因になる )になってしまったり、細かい部品になると隣とはんだがくっついてしまったり(ブリッジといい、短絡の原因になる) 慣れないうちは色々大変なので、小さいパーツで比較的原因を特定をしやすいものから始めてハンダ付けに慣れるのが良いかと思われます。
2. ハンダ付けをする上での一連のプロセスに慣れる
全く同じ形のトランジスタでもよく見ると書いている型番が違っていて、つける場所を間違える とか 配線のハンダ付けに慣れるまでちょっと大変だったり、実際にやってみないと身に付かない注意点もあるので まずは小さいものをつくって一連の流れに慣れてみるのがオススメかもしれないです。
その他気をつけること
上手にハンダ付けをする際には独特のタイミングがあるようです。
ワークショップとかで学ぶのが一番ですが、こればっかしは本を読んでもピンと来ないので動画か何かを予め必ず見ておくことをオススメします。
Written by Nisei Kimura ( 木村 仁星 )